製鉄工程では、鉄鉱石、石炭などの搬送に加え、スラブ、ブルーム、ビレットといった半製品の輸送が発生するなど、鉄鋼生産には構内輸送が欠かせません。国内外の輸送船から降ろされた鉄鉱石、石炭などの原材料を貯蔵するヤードの管理にはじまり、高炉から出された溶銑・溶鋼や製鋼工場から出された鉄鋼半製品の構内鉄道による輸送。さらに工場から出された線材、コイル、厚板などの機関車輸送を司り、製品の入出庫管理業務までを行っています。ヤード、構内鉄道から出荷倉庫までにコンピュータによる一元管理システムを導入し、製品管理はもちろん、安全面、コスト面、そして環境負荷軽減までをITネットワークで統合コントロールしています。

神戸製鋼所の事業戦略の一つである電力事業。その電力卸供給(IPP)事業向けに石炭などの原料を輸送しています。その発電量は神戸市のピーク時の電力需要の70%をカバーし、地域社会を支える力となっています。さらに、神戸線条工場(高炉解体跡地)内に第2電力卸供給(IPP)のプロジェクト稼働により、物流面での貢献が拡大します。

鉄鋼業界で初めて、神戸製鋼所加古川製鉄所で運行している構内運搬用ディーゼル機関車の「アイドリングストップ化」を実現しました。製鉄所の製品運搬は、主に軌道による列車が使用されています。構内には総延長約62Kmの軌道があり、39台のディーゼル機関車を保有し、常時30台程度のディーゼル機関車が高温状態の溶融物や鋼材製品・半製品を24時間365日体制で運搬しています。一方、生産状況によって運行頻度が大きく変化するため、待ち時間が長く、待機中もアイドリング状態が常となり、稼働率は平均約43%となっていました。地球温暖化防止の観点ではCO2の無駄な発生につながっており、コスト面でも負担が大きいとの課題がありました。そこで独自にディーゼル機関車の制御系統を改良し、自動車同様の完全なアイドリングストップ機能を実現しました。これにより、総燃料消費量を約25%減らし、年間約1,032トンのCO2および約35.5百万円の燃料コストの削減に結び付けました。